【乾くるみ】セカンド・ラブ※ネタバレ注意
 セカンド・ラブ読了。
 乾くるみ氏といえば、恋愛ミステリ「イニシエーション・ラブ」だろう。だろう、と言うと知ったかぶり感満載だが、わたし自身がイニシエーションで乾氏の二冊目を手に取ってみようと思ったクチなので、やはりそういう人は多く、あの一冊の影響は凄いんじゃないかなあ、なんて思ったりする。

 セカンド・ラブはそんなイニシエーションに続く恋愛ミステリ第二段である。読んでみるとなるほど主人公の環境にも共通点が多く、例の人物も登場している。


【あらすじ】

 両親を早くに失い、大学進学の夢も破れ、東京の木工場の工員として働く二十六歳の童貞・里谷正明。唯一の趣味は読書、これといった楽しみもなく淡々と過ごしていた彼は、ひょんなことから日帰りスキー旅行に誘われ、そこで内田春香と出会い、一目惚れする。

 二人の交際は順調。デートの最中に春香が一人の男に声をかけられ、スナック「シェリール」に春香そっくりのホステスがいることを知る。
 半信半疑でシェリールを訪れた正明の前に、ミナこと、半井美奈子は現れた。顔、声、春香に瓜二つの彼女は、自分は春香の生き別れの双子の妹だと説明する。
 良家のお嬢様で我が儘だけど品のいい春香。ホステスで風呂なしアパートに住む明るく奔放な美奈子。二人の女の間で、揺れる正明の心…………。

 以下、ネタバレ↓↓↓















 ミもフタもない言い方をすると、プライドの高い童貞が女に遊ばれて自殺して、幽霊になって彼女を驚かす話である。
 イニシエーション・ラブの単調でありながら大きく変わっていく男女の心の動きが自然であるのに対し、こちらはやや突拍子もないというか、読んだ直後、わたしは心で「ンフッ」と笑ってしまった。

 結局この物語で一番ミステリーなのは、春香と美奈子は、春香による一人二役だったことでもなく、序章と終章が幽霊になった正明の視点だったことでもなく、人間の心なんだと思う。
 形成された性格に一律に従って動いているつもりでも、他人の影響力で心なんて簡単に変わってしまうし、親しいと思っていた人の本音なんてわからない。それによって自分の醜さに気づいて絶望する。ここが一番ミステリー。

 ────なんだけど、ちょっと演出が唐突で笑ってしまう。

 最後の台詞とか爆笑。

 あと、やはりこの人の持ち味は最後の最後で引き締める。という感が強く、読み終わってしまえば答え合わせも含めてもう一度読んでみたいと思わせるものではあるんだけど、そこへ行くまでの男女の日常生活が壊滅的につまらないという罠。
 イニシエーションのたっくんの人柄は嫌いではなかったし、若者の恋愛話は大好きだからあまり気にならなかったんだけど、こちらの正明の方はちょっと気持ち悪いと思ってしまったので、あまり楽しくなかった。いや、もう童貞解禁でウハウハで調子乗ったり、隠れているプライドがほじくりかえされたり、嫉妬でわやくちゃになる男性を描いた作品は好きなんだが。
 さて、恋愛ミステリシリーズという名目の他に、欠かせないのがタロットカード。乾氏の作品はタロットカードが重要になってくる。

 セカンド・ラブ【女教皇】

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 イニシエーション・ラブ【恋人】

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 このタロットシリーズに欠かせないのが【天童太郎】という男。長身で変わり者、イニシエーションでは石丸美弥子の元恋人として登場。もちろん、セカンド・ラブにも登場する。名前は出てこないけど結構わかりやすいから読む人は探してみるべし。

 噂によるとトライアングル・ラブなる構想もあるらしい。出たら当然買う。わたしは馬鹿だから何度でも騙されにいく。

 正明はホラーコメディアンとしても良かったし、男の人の内面の汚さや愚かしさや素直さが描いてある物語はいいね。
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by kumatalow | 2015-04-25 14:22 | 書籍 | Comments(0)

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