人生初ウナギ
 土用の丑の日は華麗にスルーしたのに、何を思ったか母がウナギを買ってきた。

 人生初ウナギ。

 我が家の食の主導権は父にあり、彼の嫌いな食べ物は食卓に並ばない。魚系がすべて駄目というのだから、土用の丑だろうがウナギの大安売りだろうが食べる機会なんてなかったのだ。そして私も魚介類が苦手だったから、食べたいなどと思ったこともなかった。

 が、ここ最近になって魚の美味さに目覚めた、急に。年を食ったせいだと思われる。目覚めてから一度は食べてみたいなあとひそかに夢見ていたが、縁がないかなと諦めていた。

「人生初ウナギ!」興奮した私は「美味いかな?」と言った。すると、目の前で違うおかずをつついていた父が一言。

「美味いよ」

 …………食べたことが、あるのかい?

「あるよ。美味いよ」

 裏切り者が出たぞォオー!(実質何も裏切られちゃいないがそのように感じた)

 これに驚いたのは母だった。当然「あんたも食べる?」という台詞が出る。父は首を横に振った。

「食べない。この先一生食べる気はない」

 何だこいつ。やっぱ嫌いなんじゃねえかよ。

 地味なひと悶着があり、ようやくウナギは私の口に入った。う、う、美味い! ほろっと柔らかくて、タレの甘味が────最高に美味い! ご飯に合う! 恐れていた骨もない! 

 ああ、もったいないことをした。もっと早く食べたかったな。

 この調子で大嫌いなイカやらエビやら貝やらカレーにもある日突然目覚めたりしないかなと期待している。食べられる者が少ない人間は、外へ出た時に他人の足を引っ張るからな。かと言って嫌いなものに金は出したくないし。

 私のレベル上げはまだまだ続く。

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by kumatalow | 2016-08-18 00:27 | 日常 | Comments(0)

さらしちゃいな日記。
by サトミッチ
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