カテゴリ:書籍( 20 )
【伊坂幸太郎】首折り男のための協奏曲
 長編だと思い込んで最後まで読み続け、あまりにも小ぶりなオチに首を傾げていたら実は短編集だった、という体験をした。

 「首折り男のための協奏曲」

 帯や、後ろの解説には短編集とは一言も書いてなかった……。ただ、首折り男が出てきて、伊坂作品の常連であり人気キャラの黒澤がまた活躍して、色々な立場の人の悲喜交交。私の好きな群像劇を連想させて勝手に長編だと思い込んだ。短編集って書いてなかった(ちょっと恨み節)

 いや、読み終わるまでに気づけよって話だし、別に短編だったから面白さが半減したということではなくて。長編だと思って読むから腑に落ちないことが沢山あって、短編だと思って読んだらもっと楽しめたんじゃないか、という悔しさがある。

 長編と勘違いしたのは完全に私のミスだが、それぞれ独立した話でありながら、前回の話に登場した人物が今度はメインになったり、別の住人でありながら同じ世界で暮らしているんだということが伺える描写の数々。クロスオーバーな話が多かったのも最後まで気づけなかった原因のひとつではあると思う。

 私はこういうみんな空の下システムが大好きだから結果的には良かった。
 なるほど、確かにこれは協奏曲と呼ぶに相応しいと、なんだかんだで納得できる。

 陽気なギャングのコラボはないのかな~と思ってたら、偶然にもちゃんとありましたよ。連中は一切出てこないけど。
 ホラーあり、涙あり笑いあり、日常を崩さない程度の落ち着いた短編集である。

 いいですか、

〖短編集〗

 ですよ!
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by kumatalow | 2017-03-23 00:45 | 書籍 | Comments(0)
【伊坂幸太郎】陽気なギャングの日常と襲撃/三つ数えろ
「陽気なギャングが地球を回す」の続編があったとは知らなかった。立て続けに2冊読んでしまった。

■陽気なギャングの日常と襲撃

 ギャングたちのそれぞれ独立した小さな事件を扱った短編集の前編と、いつものように強盗から事件に巻き込まれていく後編とに分けた構成になっている。

 もちろん後半の事件には前半で起きた小さな事件がそれぞれリンクしていて、ひとつに繋がっていくのを楽しむところ。

 私はすっかり世界観の虜になったのだが、きっかけは絶対地球を回すより日常と襲撃だな。強盗をしていないときの彼らの私生活が、(特に目新しいことはないのだが)読んでいて楽しかった。

 あと、一作目に比べて響野の面白さが格段にレベルアップしている! 特に久遠とのやり取りが秀逸過ぎる! あまり笑うことないんだけどひとりでずっとニタニタしてた。


⬛陽気なギャングは三つ数えろ

 二作目から九年後に書き下ろされた続編。物語の中でも年月が経っており、慎一は大学生になってるし、タダシは就職が決まった。

 実はこういうのが苦手だ。上手くは言えないが、独立した世界観と面白さを築いている物語は、俗に言う「サザエさん時間」で楽しむのが一番いいと思っている。

 案の定作者も「銀行強盗を楽しく描いていいのか」とか「自分の考え方も数年で変わった」とか歯がゆいこと言ってて、これはもしかして期待外れなんじゃないかと恐れを抱いたが、まあ、普通に面白かった。作者コメントもこいつらはこれでいいんだ、という結論に達した旨が書かれていてホッとする。

 内容は大学生になった慎一がバイトするホテルにて、偶然出会った記者を暴漢から助けたことをきっかけに、強盗であることがバレかけていつものごとく巻き込まれていく物語。年月は経っても成瀬は成瀬だし響野は面白いし雪子もクールで久遠も若々しい。数年経たせた意味あるかな? というくらい。

 個人的に二作目を超える勢いではないけど、相変わらずで嬉しかった。是非四作目もお願いしたい。できたらこれ以上の時間経過はナシで。



 ところで成瀬がコンタクトをとる田中という男が本当に凄くて、合鍵作ったりデータ盗んだり情報持ってきたり。彼の働きなくして事件解決は有り得ないレベル。最終的に金で全ての情報を引き出す33分探偵を彷彿とさせる。

 細かいロジックにはこだわらない緩さが私には合っているみたいだ。
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by kumatalow | 2017-02-13 18:19 | 書籍 | Comments(0)
【羽田圭介】コンテクスト・オブ・ザ・デッド
 初羽田圭介。彼のことは作品で、というよりテレビのバラエティで知った。芥川賞受賞という栄光を手にしたにも関わらず、話題は同時受賞した又吉直樹に傾きがちで、売り上げに少なからず差が出たのだとか。バラエティ対応力があるのか台本だったのか定かではないが、はっきりと「本買って!」と嘆いていた彼に好感を持っていたのは確かだ。好感を持ったくせにスクラップ・アンド・ビルドをスルーした私は、彼からしてみりゃ一番タチが悪いタイプだろう。

 今作を読むに至ったきっかけは、まず装丁が派手だったから。何じゃこれは怖い顔。と覗き込んだらゾンビものだって。へえ面白そう。え、羽田圭介って芥川賞の人? 芥川賞の人ってゾンビとか書くんだ読んでみよう……。予想だけど、出版側がこうやって売り出していこうと想定した道をまんま辿った気がする。

【あらすじ】

 突如街中に出現した青白い顔をし、人を噛み、時に食べる人間。変質暴動者いわゆるゾンビ。世界中でにわかに増えだしたゾンビの存在を認識しながらも、人々は生活を続け、やがて流されるように安住の地を目指す。市役所の職員、女子高生、小説家志望の青年、返り咲きを狙う小説家、復活した人気作家、編集者。それぞれの視点から描くゾンビサバイバル。



 言いたいことはすごくわかる。結局ゾンビっていうのは大きな意味での例えで、この際襲ってくるのはゾンビじゃなくてもいいわけで。ただ死からの蘇りだと一番ゾンビがイメージしやすい。携帯電話の普及によって他人の意見も簡単に自分の意見にすり替えられる。大多数の意思を簡単に手に入れることによって、あたかも自分で考えたように脳が勘違いをする。そもそも自分で持っていたものなど何もなく、過去を踏襲することで自分の保身をはかったりする。
 思考停止=死んでいると同義。→そういう人がゾンビになる。


 というテーマを、読み終わってみると頭のてっぺんから足の先まで描いていたんだということに気付く。なるほどとも思うし、複数の登場人物の動きを追うのは読み応えがあった。が、肝心の登場人物がわりと浅い。作家や編集の場面はみっちりと書き込むが、市役所員や女子高生のくだりは凄くあっさりしててムラがある。

 後半Kと須賀が静岡に行く展開から物語はいよいよ混沌を極めるのだが、この辺りからいよいよもう全員作家か作家志望で固めりゃ良かったのになという内容になってくる。当てはめたいテーマと盛り込みたい要素と、一応話作りの定石で用意した人物たちとのバランスがとれていない。文藝について語りたいのか、それとも作家に限らず人間に対して警告しているのか、どっちもなんだろうけど。

 作家としての感情しか知らない人が書いた群像劇風文藝論と人類への警鐘。何とも言いがたい作品という印象を持ったけど、きっともっと奥深いところまで考えて書いてるんだろうなあ。

 頭が及ばなくて無念だ。

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by kumatalow | 2017-02-03 02:05 | 書籍 | Comments(0)
【伊坂幸太郎】陽気なギャングが地球を回す
 やっと読めた!

 4人の特殊能力かつ個性を持った銀行強盗たちが、盗んだ金を他人に奪われ、取り返そうと首を突っ込んでしまったことにより、事件の謎を突き止めてしまう軽妙痛快時々しょうもないライトミステリ。

 何も考えず頭空っぽにして読める。感情移入なんて必要ない。こいつらすげえなあとか、馬鹿だなあとか、他人事のようにニヤニヤと世界観を楽しめばいい。感情を豊かに描かない、人物を記号みたいに扱う小説はあまり好みではないのだけど、この人たちはとにかくお喋り。4人でひたすら会話の応酬を繰り広げる。ドラマもそうだけど台詞量、掛け合い量の多い作品は面白い。くだらないやり取りのようでいて、それが彼らという人間を掘り下げる手段になっている。

 また私は「庶民的な悪党」というものにもの凄く興味を示すタチで、表ではバツイチの親父であり主婦である。4人が初めて出会ったのが映画館というエピソードがそれをよく表していて大好きだ。

 ただ、伊坂作品を立て続けに読んでいくと、大体が同じ流れというか、事件の規模や出てくるキャラも似ていることが多いので、新鮮というより伊坂節だなと感じた。読み慣れた人が読むと味気ない思いをするかもしれない。

 ちなみに映画版は妙な恋愛設定を入れていたようだが、原作はそうではないとわかって良かった。実写オリジナルって本当にいいことがないな。
 続編も買った! 早く読みたいな( ´∀`)

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by kumatalow | 2017-01-26 22:33 | 書籍 | Comments(0)
【月刊MEN】松田翔太※尻注意
 届いたぞ~。火曜日って言ってたのに月曜日に届いた。でかした!

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 松山ケンイチくんの写真集を久しぶりに眺めながら、そういえば松田さんは若かりし頃とかに出してないのかな? と試みに検索してみたら、月刊MENしかヒットしなかった。しかも、やたら評価が低い。

 どうやら松田さんが女を飼っている設定になっているらしくて、ちょっとSMチックというか、変態みたいな役(と言っていいのか)をしてるらしいことが判明。レビューを見るとみんな揃いも揃って「女の尻が不快だ」「こんなものが見たいんじゃない」と言う。

 またまた~ケツったって大したことないでしょ?

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 ああ、ケツだね。どうもありがとうございました。これより酷いケツの写真が山ほどあります。

 肝心の飼育している部分も、ひたすら松田さんが思わせぶりに鎖握ってるだけなんで、別に。
 写真家としてお馴染み、蜷川実花さんが撮ったらしいけど、どうしてこんなことになったんだろうね。

 ちなみに私がいいなと思ったのはこれです。

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 ずっと鳥と映ってれば良かったのに。女の尻より鳥の尻の方がずっとキュートだぞ。松田さん出来上がった写真を一度は見ているかと思うが、どうかすると自分より尻の方がインパクト大になってしまっていることに、どのような感想を抱いただろうか。

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by kumatalow | 2017-01-23 21:27 | 書籍 | Comments(0)
【道尾秀介】向日葵の咲かない夏
 これはミステリー小説と言っていいのかと、読後相当考えた。人が死ぬし、犯人はわからないし、一応ミステリーと呼べなくもないとは思う。だけどこれをミステリーですと認めてしまったら、もはや何でもアリになってしまうんじゃないのか。

 つまりそういう物語だった。

 主人公は小学4年生のミチオ。先生から預かったプリントを届けに、S君の家に行くと、S君は首を吊って死んでいた。しかし、警察が向かうとS君の遺体は忽然と消えていた。一体誰がS君の身体を持っていったのか? それとは別に、ミチオを疎ましがる母親、3歳とは思えないしっかり者の妹ミカ、いつもヒントをくれるトコ婆さん。そして蜘蛛となって蘇ったS君。

 いくつもの謎が解き明かされていく、ひと夏の悲しい事件の顛末は…………















 全部妄想でした。

 主人公は母親にドッキリを仕掛けようとし、母はお腹の子を流産してしまう。以来母から拒絶され、妹ばかりを可愛がる。その妹というのが、母親はお人形を娘と思い、ミチオは飼っているトカゲを妹扱いしているというものだ。しかし読んでいるとわりと早い段階で妹が人外生物であり、幽霊でもないことはわかってくる。

 読者の目を騙そうと普通に会話もするし、外に出たりもするんだけど、全部ミチオが考えているのだから会話ができて当たり前。ミチオは身近な人が死ぬと、虫や花に生まれ変わった設定にして、自分の妄想の世界の中で生きるちょっと病んでる小学4年生だったのだ。


 叙述トリックに引っかかることに喜びを見出す私としては、このタネ明かしは少し不満だった。また、事件解明の部分も、ドッキリが二転三転用意されているというよりは、同じことをこねくり回しておちょくっているだけのように見えた。こうか、と思えばやっぱり違う。じゃなくてやっぱりこっちでしたを繰り返されて、そのうちどうでも良くなった。結局オジサンが足を折っていたのはどっちの理由だったか忘れてしまった。


 どうも夢オチ、妄想オチにされると自動的に「逃げたな」と思ってしまう癖があるから、こういうのもアリだと思ってしまえばいいのだろうけど。

 それにしても少しお粗末だった。

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by kumatalow | 2016-09-11 16:54 | 書籍 | Comments(0)
【伊坂幸太郎】オー!ファーザー
 読む前はどうも縁がない作家だと思っていたが、彼の無理のない人物描写が心地よくて、ついあると手を出してしまう。

 オー!ファーザー。

 タイトルを見た時の第一印象としては、ふざけてて面白くないのかなと思った。読んでみたら多少ふざけてて、多少面白くなかった。

 ざっくり説明すると4人の父を持つ高校生由紀夫が、日常の小さな事件に巻き込まれて、やがてそれがひとつの大きな事件に発展し、4人の父親が大活躍するというポップで家族愛あふれるお話。

 伊坂幸太郎という人はシャイなのかなんなのか、素直に家族愛を描きたがらない。必ず有り得ない設定をひとつぽんと用意して、それらを隠れ蓑にしつつ訴えかけてくることはてんで平凡な人として当たり前の感情だったり、成長だったりする。読者を楽しませねばならないから凝った設定を考える、という部分が大なのだろうけれど。


 4人の父親も皆個性が溢れ過ぎるということもなく、見ていて穏やかな気持ちになれる物語である。ただ、散々レビューで言われているとおり、若干伏線回収が甘いのと、同級生の女子多恵子が鬱陶しい。途中から慣れたが序盤は本当にイライラした。

 夕闇通り探検隊というゲームがある。学校で集めた噂話を犬の散歩がてらに検証するホラーゲームだ。検証の最中に有り得ないことが起きたり、心底怖いような演出もある。でも主人公たちは時間がくれば家に帰ってきて普通に夜を過ごし、翌日には学校に行く。オー!ファーザーはそういう雰囲気を持っている。日常を捨てきらない中での大わらわ、という点が私はとても好き。

 そんなわけで傑作とは言い難いのだが、どうも憎めない。
 
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by kumatalow | 2016-08-29 02:49 | 書籍 | Comments(0)
【伊坂幸太郎】重力ピエロ
 伊坂氏の傾向もそろそろわかってきた今日この頃。氏の評判を見てみると、意外と「つまらない」とか「伊坂は下手」なんて声を聞く。どういうことだ? では何故彼の作品は売上が良くて次々と映像化されているのか?


 いまいち釈然としないが、今回読んだ「重力ピエロ」も数年前に映像化されている。私がまだ岡田将生くんを知らなかった頃である。読んでみると、春のイメージは確かに合う。何故なら春は美青年だから。


 主人公・泉水(いずみ)の弟、春(はる)は、母親がレイプされて生まれた。妊娠を告白した母に、父は「生もう」と決断する。家族は20数年間普通の家族のように過ごしてきた。母が亡くなり、父も癌に侵され手術が決まっている。そんな折り、仙台市内で連続放火事件が発生し、泉水の務める遺伝子関連会社も被害にあった。ある日、壁の落書きを消す仕事をしている春から、事件にはグラフィティアートが絡んでいると連絡がある。

 かなり賛否両論分かれる話だと思うし、事実レビュー見たらやや否寄りの賛否に溢れていた。


 こういう問題は難しいのだ。あまり自分の身に置き換えすぎない方がいいと思う。感情移入することが全てではない。


 批難の最もたるは、トリックの稚拙さと、父の決断にある。レイプされて出来た子を簡単に生ませるなとか、陳腐な復讐物語で何が言いたいのかわからない、とか。


「生むのは奥さんなんだよ!? あなたじゃないんだよ!?」などといういかにもメス臭い感想も見た。

 そういう考え方をする人が大半の中、この人たちはそうじゃなかった。父の言葉で母は救われて、家族は家族であろうとした。

 まったく非現実というわけでもあるまい。どこかにはいる。そして読者の「有り得ない」というご都合に対する不満を引き受けているのが春で、彼自身もがきながらああいう行動に出たんじゃないのか。


 落ち着き方は個人的にとても好きだ。DNAのくだりが少し難しいのと、夏子さんがあまり活かし切れていない点が、ちょっと二の足を踏むかもしれない。



 映画版も一応チェックしてみたが、映画が評価を下げている一因でもある気がした。まず、父親の描写が壊滅的である。

 映画を見てから小説に手をつける人もいるだろうから、映画が残念だと原作も残念扱いされるのが残念だ。


 ちなみにラッシュライフで大活躍した黒澤と、オーデュボンの祈りの伊藤が登場してる。黒澤やっぱりいいキャラしている。

 氏の作品を順番に追っていくと、今までの作品の登場人物のカメオ出演が結構多くて楽しい。物語を終えて成長した人物が、現行の人物の肩を叩いて過ぎていく。リレー式なのがひそかに熱い!

 


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by kumatalow | 2016-05-01 01:37 | 書籍 | Comments(0)
【伊坂幸太郎】ラッシュライフ
 ゴールデンスランバー、オーデュボンの祈りに続き伊坂幸太郎著・ラッシュライフを読んだ。

 前にも言ったがなにを読んでいいかわからないから、取り敢えず知っている作家を片っ端から読む。しばらくは伊坂幸太郎氏のターンが続きそうである。

 オーデュボンの祈りは喋れるカカシのいる世界に主人公が迷い込む話だった。殺されてしまったカカシの死の真相を、のんびりとした異世界を歩きながら解いていく、ミステリなのにどこか牧歌的で優しい話だった。主人公にも特に派手なアクションや頭脳が求められるでもなく、普通の人の感性でもってして、流れる景色や人の声に耳を傾けながら自分の心や事件と向き合っていく雰囲気がとても良かった。

 ラッシュライフでも、死人が出る。だがメインは4日間を通したその日その日の4人の主人公達の動きだ。

 今朝すれ違った人が今はなにを考え、どう過ごしているか。ひょんなことから交わりあって、また通り過ぎていく。

 こういうの大好物! 派手なことは特にないけど、同時進行と見せかけて、実は通して4日間の出来事だった、というトリックも緻密で面白い。伏線回収もしっかりしている。

 伊坂幸太郎氏の中で(今のところ)1番好きかもしれない。オススメです。


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by kumatalow | 2016-04-12 16:44 | 書籍 | Comments(0)
伊坂幸太郎【ジャイロスコープ】
 ──男性が選ぶ!などという不可解なくくりで見事王冠を手にした一冊。その謳い文句に気付いたのは買ったあとのことだが、読んでみるとわからんでもない。


 伊坂幸太郎はよくメディア化もされるので、読んだことがないわたしでも名前は知っていた。読んでみると、癖のない読みやすい文体でスラスラ進む。

 なにより、話作りが結構細かい。大まかな流れの中でさらに二転三転、なのに突拍子さを感じることもなくすんなりと終わっていく。わたしの大好きな日常の中の非日常の描写もかなり上手い。
 そして最後のエピソードで、各話に共通するモノや人が混じりあっていて、同じ時間を共有する群像劇になっていて面白い。



 とにかく、ここ最近本を読んで感じることは自分の読む力のなさである。特に短編は話が多いぶんオチを沢山見ることになる。オチを迎えるたびに、想像もつかなかった結末に驚きつつ、「……で、どういうことだったんだ?」と考える。


 いくら考えても想像力がないから一向に明日が見えず、わからんまま次のエピソードに行って、また雷光に打たれた気持ちになり、「こ、これは凄い!……で……」となる。


 じゃあお前は一体なにに驚いているんだと言われれば、一応表面上の展開に驚いているのである。

 例えば死んだと思っていたキャラが実は生きていたとか、見たらわかる部分で動揺しているのであって、物語全体に横たわるテーマとか、なぜこのキャラはこんな台詞言ったのかな等はさっぱりわからん。


 わたしが作者の脳みそをしきりに覗きたがるのは、わからない癖に白黒だけははっきりつけたがる性格によるものだ。


 最終的に追い詰められたわたしがどうするかというと、ググるのだ!ググって他者のレビューをかき集め、目から鱗を溢し、それがあたかも自分の意見のように振る舞ったら任務完了だ。


 ちなみにこの方法の他に「考えさせられました」と神妙に呟いて、さも感想を述べるには難解で崇高な作品だった、とアピールする技もある。考えさせられて、考えた結果どうだったのかということを書かなくても許されていくのが強味だ。


 どうだろうか?なかなかのクズではなかろうか?


 こんな奴が日頃から小説を書いて、自分はイケていると思っているのだから世の中は怖い。



 しかしながら一番怖いのは、この先沢山本を読むようになっても、自分に読む力が備わる気がしないということだ。いつまで経っても雷光に打たれたあと思考停止して「考えさせられました」と言っていそうなのが怖い。



 書くより読む方がずーっと難しいなあと実感した。


 自分で言うのもなんだけど、わたしは創造力はあっても想像力がないようだ。
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by kumatalow | 2016-01-03 19:06 | 書籍 | Comments(0)
  

さらしちゃいな日記。
by サトミッチ
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