カテゴリ:映画( 73 )
ザ・コンサルタント
 予告を見た時から見たくて見たくて。

 予告の雰囲気では敏腕金融コンサルタントクリスチャン・ウルフが実は裏の顔を持っていて、悪い奴ともずぶずぶで、頭脳だけではなく殺しの腕もプロ級! という悪の一面を全面に押し出したものだった。裏のヤバい連中に近づき率先して金を動かす彼の目的は?

 ある大企業でひとりの経理担当デイナが発見した不備に、正式に会計士として呼ばれたウルフがさらに不正を詳しく暴き出したことで死人が出て、ウルフとデイナまでも巻き込まれて命を狙われたりし、同時進行で彼の正体を突き止めようと動く人々も描きながら、散らばった物語のピースがかち合っていく。


 当初の期待と比べるなら、「期待外れ」という言葉が妥当である。私は主人公ウルフのことを、狡猾で自分の儲けの為に悪を騙す腕を持っている会計士だと思っていたからだ。もっと手軽に表裏を体感できると思っていた。

 実際は、主人公ウルフは高機能自閉症であり、強靱な肉体と格闘術、さらに射撃の腕も軍人である父が彼が社会で生きていけるように教え込んだものだった。過去の登場人物を一旦バラバラにして、繋げるやり方が本当にパズルのようで見ていて楽しかった。お金の流れがよくわからないから難しくて理解できないところもあったけど、ウルフの持つ愛情だけで結構見れた。格闘も素晴らしかったしね。ヒロイン? まではいかないけれど確実に彼のオアシスだったデイナも可愛い。さらにウルフの弟役にウォーキングデッドのシェーンが! めっちゃ演技上手、モニターを眺めている時の微妙な顔つきもそうだし、悪逆非道な行為をしている時のわかりやすい表情も良かった。

 ただ一点文句があるとするなら、ウルフが夜の9時50分から10時まで行う轟音ロックとフラッシュチカチカの謎鍛錬だ。おそらく彼の精神を揺さぶるものに立ち向かう、昔からやってる弱点克服の大事な時間なのだろうけど。轟音ロックも許そう、セルライト潰してる女子みたいな鍛錬も許そう。でもあのフラッシュチカチカだけは殺意が湧いた。


 眩しくてポケ●ンどころの騒ぎじゃない。目の弱い方本当に気をつけて欲しい。

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by kumatalow | 2017-01-26 20:34 | 映画 | Comments(0)
インフェルノ
 トム・ハンクス主演のシリーズ3作目。街全体に謎が息を潜めるハラハラわくわくドキドキの謎解き観光ミステリー(だと思っている)

 今回はウィルスがどうのこうのと予告でも流していたので、ああ美しい街並みや絵画などからヒントを得た胸踊る謎解きないんだろうなと勝手に盛り下がっていた。なんのなんの。あります。すごく面白かったし、相変わらず引き込まれる。



 出だしはいきなりトムが何者かに襲われたらしい描写と、病院での不穏な目覚め。頭をやられたらしいトムの朦朧とした様子を主観視点でしつこくしつこく描くものだから、開始早々10分くらいで持たないと感じた。オッサンの汚い瞼や唇や髭を延々と間近で見せられ、揺れるカメラと光の明滅というやっちゃいけないコンボの連鎖で(しかも席が前すぎた)若干気分が悪かった。


 誰かがトムに手渡したバイオチューブ。バイオチューブに入っていたダンテ構想のボッティチェリ作地獄絵図から謎が広がり、先へ先へ導かれていく展開は気持ちがいい。さらにトムを付け狙う集団も、誰が味方で誰が敵か、2転3転と見方が変わってくるところも見所だ。大どんでん、まではいかないまでも最後は綺麗にまとまった。

 今回のバイオテロを計画したそもそもの人物の言う増えすぎた人間はやがて地球を滅ぼす説は、確かに一理あると感じさせてしまうものがあった。主人公のちょっとしたロマンスの相手も年相応でグッドである。

 ただ、台詞だけでざっと説明されても理解するのに無理がある瞬間や、強引過ぎる展開もないことはない。何だか最後の方の水中戦のくだりは何が何やらだったけど、よく考えてみればこの作品の魅力は謎解きにあるので、謎もあらかた解いて最後に一花咲かせようと無茶をしたところで特に問題はないかもしれない。余興みたいなもんだ。


 ああ、それから見ている最中どうにもわかりづらい翻訳で、まさか戸田奈津子先生様じゃねえだろうなと思っていたら、エンドロール後に「翻訳:戸田奈津子」って出てやっぱりな、でした。

 今日の夜の真夜中っておかしいだろ。

 そういえばラングドンと盗みを働いた男、思ったより出番なかったな。
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by kumatalow | 2016-11-05 02:51 | 映画 | Comments(0)
アイアムアヒーロー

 久しぶりに見たい! と自分が心からそう思って足を運んだ。


 アイアムアヒーロー。書店で何度か表紙を見かけていて、忽那汐里っぽい女子高生が微笑んでいるのが印象的だった。とはいえ表紙からは何も読み取ることができず、青年漫画かなあ……という感想にもならない感想を持っていた。まさか、ZQNなる新種のウィルスに感染した、ゾンビものだったとは。


 映像の予告からしてグロそうテンポ良さそう楽しそう。



 個人的にはハズレ。



 我々のイメージの中で、ゾンビの被害に遭うのは西洋の人間だと決まっている。それが中心舞台が日本で、自分たちにより身近なパニックものとなれば、アドレナリンが沸騰すること間違いなしだ。と、思った。



 何がマズかったのかと言うと、物語そのもののテーマが自分に合わなかった。いつか活躍できる日を夢見るうだつの上がらない35歳男(ほぼ無職)が、無秩序と化した世界観の中でヒーローになる。



 まずヒーローが何か、わかっていますかと言いたい。


 ヒーローは人類の救世主。泣いている子どもからお年寄りまで、困っている人を助けてくれる正義の味方が一般的なヒーローである。


 美女がピンチのときだけやる気を起こす主人公を誰もヒーローとは呼ばない。少なくとも英雄を見ていると、ヒーローになりたいのではなくモテたいんだろうなと思った。私の大嫌いなパターンだ。まさにラノベの「俺くん」


 いつも思うがまずヒーローになりたいんだったら

①力をつける

②活躍する

③信頼を得るの順番が正しいんじゃないのか?


 手っ取り早くイケメンになりたいのか昨今は

①偶然力を持っている(英雄の場合は猟銃)①信頼されてる

②英雄になる(女限定) という人の気持ちの法則をガン無視したおサボり展開が多いように思う。


 有象無象の男たちがピンチのときは「すいましぇ~ん」で逃げる英雄が、美女の無線や回想でキリッと奮起したときは、脳内でキモッと呟いた。それは夢じゃなくて妄想よ。



 さらに続編を狙ってか、種明かしをしなさ過ぎる。ウィルスが蔓延した原因や経緯を誰も話し合おうとしない。政府らしきヘリは飛んでいたが、自衛隊員等は1人も出てこない。


 この映画の面白さの仕掛けは、実は説明シーンを大幅に犠牲にしたことで成り立っている。盛り上がるところしかやらないから面白いに決まっている。続編作るつもりなら、面白さはガクッと下がるんじゃないか。


 ウォーキングデッドのシーズン1~4の前半くらいまでを大泉洋がダイジェストで演じきったといえばわかるだろうか。彼に罪はない。むしろ気持ち悪い願望背負わされて大変お疲れさまでしたと言いたい。



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by kumatalow | 2016-05-06 13:49 | 映画 | Comments(0)
ズートピア
 姉に誘われて【ズートピア】見た。


 肉食も草食も分け隔てない平等の国、ズートピア。国のスローガンと現実の暮らしが比例していないのは私たちの世界でもままあることで、草食動物は肩身が狭い。

 ジュディはズートピア初の新米ウサギ警察官。使命に燃える彼女に与えられる仕事といえば、駐禁ばかり。それでも前向きに頑張るジュディは、狐の詐欺師、ニックと出会う。ニックもまた肉食動物であるが故の差別にあっていた。

 多発する肉食動物行方不明事件に、ジュディとニックは協力しながら立ち向かい、真相を暴いていく。果たしてズートピアに真の平等と平穏は訪れるのか?



 文句のつけどころがない映画だった。

 ジュディは可愛いし前向きで、今どきの若い女の子の雰囲気がよく出ている。ニックも魅力的なキャラクターだ。
 ジュディとニックの表と裏の相反する関係がいいんだと思う。秋山とナオしかり、私はこういう関係が好きである。

 キャラクターもさることながら、実はこの物語はミステリーとしても非常に水準が高い。2時間サスペンスなんかで踏まれる手順を素直に辿り、意外な黒幕にたどり着く。その合間合間でジュディとニックの絆もちゃんと深めていく。シナリオバランスがとてもいいのだ、オチも素晴らしい(笑)



 ところで私はズートピアというタイトルについてまったく深く考えておらず、ぼーっとスタッフロールを眺めている最中に、不意に「あ、ズートピアのズーってZOOのズーか」と思い至った次第である。何故すぐわからなかったのか謎だ。



 あまりにも面白かったのでグッズを買ってしまった。

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 本も購入。 

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by kumatalow | 2016-04-25 18:01 | 映画 | Comments(0)
ジュラシックワールド
 ジュラシックワールドを鑑賞してきた。
 一世を風靡したジュラシックパーク公開から早くも22年。正直真ん中の2作は印象が薄くまあたらっとした続編という印象で14年経ったわけなのだが。


 突然の再登場。あの頃では想像もできなかったハイテクノロジーで管理されたパーク。いやオープンしちゃったのかよとこれまで散々自然の驚異を見せつけられて半ば諦めていた観客をハッとさせる高揚感。素晴らしい!

 時代の経過の物悲しさを感じさせると共に、「またあのときのような作品を作りたい!」っていうスタッフかスピルバーグだかの気合いがひしひしと伝わった。それだけで十分。
 1作目へのオマージュが随所に散りばめられていてそれがもう最高!兄弟とレックス(厳密には違うけど)とガラス一枚のゼロ距離とか、施設に四人で駆け込む時の角度。ぴったりと嵌まっていてとても感動した。
 ことにジュラシックパークの一作目は思い出が特殊なのだ。どこか知らないのだが車の中から鑑賞するスタイルだった。それが初めてのジュラシックパーク。ガリミムスがレックスに襲われるところで尿意に駆られて、居並ぶ車の列をすり抜けてスクリーンすぐ脇のトイレへ入ったこともよく覚えている。


 そういう角度から見て、懐かしさで自然に涙が出てしまうような作品。
 しかし気になるところがいくつかある。あの有名なBGMは是非今作恐竜初登場で鳴らしてもらいたかった。グラント博士と観客が初めて生きた恐竜を目の当たりにして愕然としたシーンで、ブラキオサウルスが悠然と歩く背景に曲が合っていた。時代も進んで生きた恐竜が見られるのなんて当たり前になってしまったからか、少年もざーっと見ていくだけではしゃぐ割に恐竜との対面はおざなりだった。前の通りにしろとは言わないが、動く恐竜と合わせることで「帰ってきたよ!」感が欲しかった。だってそういう目的で作ったんだろうに。
 それから、この映画で知名度好感度共に抜群あがったラプトル大先生。これを調教しちゃおうというのは素晴らしい発想だと思う。事実銃火器よりも安全確実な場面が結構あった。しかし何?ラプトルを使って新種をやっつけよう?ラプトルとの絆?
 これがとても萎えた。一人悪役を用意して、今までの敵キャラで一致団結してやっつけよう!って、どこの子供向けアニメだ寒い。そっぽ向かれて終わりで良かった。新種も新種で食う気のない恐竜殺して愉悦感じたりとバトルロワイアルの桐山和雄並の中2パワーで好き勝手やってるしなんだかな。

 最後にラプトルと主人公が見つめ合うシーンでは、

「ボス、あばよ。もう二度と、会うこともねーと思うけど……」

 そんな声が聞こえてきそうだった。こんなラプトル誰が見たいものか。自然界に迂闊に手を出すと痛い目見るよがお決まりのジュラシックパークから若干逸れてる気がする。

 というわけで中盤から完全に恐竜トーナメント~最強だーれだ?~になってしまい、終始ギャアギャア言いながらシチュエーションに特に捻りもなく緊張感を感じさせないままドタバタ進行で、変な絆入ったせいで前作超えられず。

 しかしまあ、超える気は最初からなかったようだ。

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by kumatalow | 2015-08-06 01:15 | 映画
【映画】イニシエーション・ラブ※ネタバレ注意
 ついに来た。待ちに待った【イニシエーション・ラブ】の公開日。主演の松田翔太さん、前田敦子、果ては監督までかり出して番宣に余念がなく、そんなに自信があるのかと、原作既読の身としても否が応にも期待が高まるというものだ。とはいえ期待を高めておいて、想像の範囲を超えないパターンだろというひねくれ者思考だった私は半ば上から目線でこの映画に臨んだわけである。しかも、この映画のスレに入り浸っていたので大体どういう路線でくるかも把握していた。
 以下、ネタバレ注意されたし。



















 原作でのサイドAたっくんが“NHKのアナウンサー”と評されていることからして、当然我々は痩せた真面目そうな男性をイメージしていたのだが、映画はまずそのイメージを覆すことから始めた。始めたというか、やったことはたったこれだけだったかもしれない。あとは本当におおむね原作通りで淡々とこなしていく。ただその中に原作にはない愛嬌みたいなものがたっぷり入っていて、非常に楽しめた。松田さんが目当てだった私にとってサイドAのたっくんのターンは少し飽きてしまうかも、などと考えていたのだがその必要はまったくなく、嫌味なく演じきっていて楽しかった。サイドBに代わるのとき名残惜しかったほど。
 初見の人は十分自然に受け入れる流れだったし、途中でわかったとしても面白い作りになっている!ラストはもし顔を合わせていたら……と誰しも一度は考えたことであろうシーンを映像化してくれて嬉しかった。しかし……マユを思って駆けつけてきたたっくんが、マユを見つけたときの嬉しそうな顔がなんともいえぬ。これ、例えばAのたっくんがトイレかなんかでいなかったら、なんて声をかけていたのかなとか。
 それにしても松田さんイケメンでしたね。前からなにやら喜怒哀楽のある普通の役にかなりこだわっていたようなので、相当生き生きと演じたのではないかと。しかも月9みたいな中身スカスカと見せかけたミステリーなんて美味しすぎるでしょう。怒った演技も怖かったし、間違い電話したときの切り方も面白かった。でも私が一番気に入ってるのはルビーの指輪のくだりの、「知るか」だ。ベッドシーンもNGなのか?この年で?と疑いたくなるほど縁遠かった彼なので、そこも新鮮だった。抱いてくれ。
 しかし今回映画で一番の衝撃だったのは、公開日にも関わらず映画館がガラガラだったことだろうか。みんなレイトで見るのだろうか。私はごみごみした満杯の映画館が嫌いだから助かったが、少し心配になるレベルの客入りであった。お願いだからもっと足を運んでくれ。面白かったから。まあ、最後は丁寧に答え合わせしてくれるから煽り文句通り二回見る必要はないがな。
 最後の答え合わせのSHOW MEがもうエンドロールで良かったと思うくらい。曲と時系列がマッチしてて良かったなあ。とても気に入った!
 少し気になったのはサイドAのたっくんに「俺の方がいいですよ」ってのは入れて欲しかったかな。じゃないとサイドBに入って独白がいきなり「俺」になっているから。それか独白だけでも「僕」にするべきだったのではないか。原作がどうにかバレないように伏線を張り巡らせているのに対し、映画はどうにかして皆にわかるようにヒントを散りばめている感じ。
 たっくん、どちらも素敵でした。

 
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by kumatalow | 2015-05-23 23:39 | 映画 | Comments(0)
里見八犬伝
日本映画チャンネルで「里見八犬伝」を見た。

里見八犬伝というと誰もが滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」を想起するだろう。
仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の八つの宝玉に導かれし戦士たちが、自らの因縁と戦っていく物語。
抽象的な言い方になったが、膨大な長編小説であるため、もはやどんな物語と一括りにすることは大変困難である。


原作を知っている人は映画を見てあまりの違いに驚き、映画から興味を持った人は、同じように違いに驚くだろう。


私は映画から入った人である。
小さい頃に父が夜中に見ていたのをこっそり眺めた記憶がある。物語は丁度クライマックスのシーン、道節が門扉の前で血だらけになりながら巻物攻撃を繰り広げる場面であった。
血みどろの道節に興奮した私はどうにかして最初から全部見たいと思った。昔から人が死ぬ物語が好きな奴だったのだ。

願いが叶ったのはそれから数年経った中学の頃。ビデオが普通に家にあった。何気なく再生したらあの日見たかった里見八犬伝だった。
肝心の道節のシーンは覚えているより大したものではなかったが、全部通して見ると中々の面白さにすっかりハマッてしまった。


原作の勧善懲悪な、どこか勇ましい雰囲気とは違って、映画の八犬伝は暗い。自らの運命に翻弄された八犬士たちがある意味死に場所を求めて戦っていくのである。そんな薄暗い連中をよそに、親兵衛と静姫だけは愛と生命力に満ち溢れて光り輝き、最終的に物語を軽いラブロマンスに収めるのに一役買っている。


まず、この静姫という女がそもそも原作との相違である。

原作は八房いう犬と結婚させられた伏姫という姫がおり、部下が放った鉛弾をもろともに受けた際、八つの玉が飛び散り、数年後各地に玉を持った子供が生まれてくるのである。剣士たちは犬と伏姫の子供と言えなくもない。不思議な運命と共にある。


映画は伏姫が亡くなってから何代か後の設定になっている。剣士たちも犬から生まれたというには遅く、また自覚のないような奴もおり、あまり心が綺麗とは言えない。


特に親兵衛は原作だと子供であるのに対し、映画は若かりし頃の青年真田広之だ。代わりに荘助が幼い少年になっている。


更には、原作が皆働きを認められ一国一城の主になっているのに対し、映画はほぼ全滅という点。よくある「俺に構わず先に行けー!」を急ピッチでこなす。


どちらがどう、と言われれば原作には忠実ではない点あまり映画を評価したくはないが、実はこの映画の原作は馬琴ではなく、鎌田敏夫という人の「新・里見八犬伝」という小説を原作としている。


鎌田さんの書いた八犬伝は新訳という感が強い。かなりのエログロであるらしい。


死ぬから面白いとは言えない。が、物語の強弱は鎌田版の方がある気がする。
原作は全くポジティブで人のいい八犬士たちが一生懸命真面目に戦って誉めあっているうちに、みんなで平等に出世する。


それよりはまだ、玉に選ばれ、導かれながら翻弄される方が特異性がある。
原作のいい人過ぎるのもある意味特異性たっぷりだが、どうしてもお前らでなくてもな…という部分が抜けきらない。


私は犬塚信乃が好きだ。原作では信乃を中心として話を回すことが多いから、一応主人公は信乃だろう。
現八との屋根の上の対決は超有名なシーンだが、映画版の現八が山頂より薄い空気であり、親兵衛が主人公で信乃がシスコンの脇役なので皆無。酷な話だ。



シスコンの信乃も悪くはない。化粧ベタベタの京本政樹が妹の死に怒り狂いながら毛野(毛野も原作は女形でれっきとした男なのに、どうやら鎌田版はふたなり設定であるらしい)と乱闘し、大角らが帰還するや何事もなかったかのように刀を収めるシーンが大好きだ。


ここまで違うともはや名前だけ借りた里見八犬伝の二次創作じゃないかと思いたくなる。
唯一の共通点といえばそれぞれ与えられた玉の特性が体現できていないところだろうか。


映画版で結婚式の来賓を殺戮しまくった信乃は一体なにが【孝】なのか、山頂より薄い空気でほとんど敵でしか登場しない現八はどの辺りが【信】なのか。志穂美悦子のアクションだけが見せ場の毛野は【智】だっただろうか?母親を殺されても平然とし、なにがあっても脇役の域を出てこようとしないムスカの【礼】はどこで見出だせば良かったのか。


原作は原作でまた気持ち悪いばかりに揃いも揃っていい人で、もしや八つの玉は一人一つずつではなく、一人八つずつ64玉与えられてるんじゃないかと勘ぐりたくなるほどキャラクター被りまくり。


親兵衛と静姫の無駄なラブシーンを盛り込みながら、当時にしては長い二時間越えの超娯楽大作である。この他にも書ききれないほどツッコミ所が満載で、上出来ではない。


しかし当時面白いと感じた作品には思い出補正がついてしまって、馬鹿にしながらもついつい目が離せない。
ダサいBGMに勿体無いキャラの使い方、決戦前におめかしをしてしまうところ。それら全てがダサダサなれど、今日までの私の創作に存分に生かされている。




全体として失笑もの、人には全くオススメできない映画だ。誰にだって一つや二つある自分だけの思い出作品というやつだ。


年をおうごとに失笑レベルが自己新を記録していくが、荘助のシーンはいつもちとホロリときてしまう。

今の言い方をするとショタ枠である。親兵衛の代わりにショタを担う荘助は小文吾とワンセットで紙より薄い存在だ。


最後の戦いで身代わりになって出オチした現八に駆け寄って涙したのは彼だけ。


岩を支える小文吾を助け、目前から襲ってくる敵を器用に切り伏せたところを背中を向けてしまい、殺られて岩になる(意味がわからない)場面は悲しい。私は少年が好きなので少年の頑張りに弱い。


もっと注目して然るべき場面かと思うのに、相変わらず残りの犬士たちはスタコラサッサと進軍し、挙げ句の果てには岩になった荘助と小文吾をまるでホラー映画のような音楽と演出で「怖いだろ?」とばかりに映して場転させるのだ。酷い。


自分達の演出した魅力を全く把握しないまま斜め上な解釈とピントズレしたクライマックスで大団円を迎えるこの作品、監督は深作欣二である。



懐かしかった。今でも楽しく見られるぞ。
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by kumatalow | 2014-03-11 22:11 | 映画 | Comments(0)
グランドイリュージョン
久方ぶりの映画。

グランドイリュージョン……って、呼んでもいいんだろうか。
始まって早々にNOW YOU
SEE MEとか、出ていた。また勝手に邦画タイトルをつけたのか、個人的に邦画タイトルは嫌いなんだよ。








以下、ネタバレ含む。




グランドイリュージョンに目をつけたのは私ではなく姉である。行こう行こうと言われて私は意思を持たぬ人形のように頷いた。

聞けばマジシャンのお話というじゃないか。私はトリック物が大好物だ。山田と上田のトリックは嫌いだがタネと仕掛けがあって、しかも大金が絡む話が好きだ。設備をふんだんに利用して、あっと驚く素早さで大金をせしめるショータイム。ついでに言うと心理戦も好きだ。


そういう点で、この映画は好きな所を全部突いてくれてとても楽しかった。

始まってからくどい程「近すぎる程見えにくい」と言われるので、これは暗に我々へのメッセージだと思ってこっちは身構える。

なるほど、追う側追われる側、どちらにも寄り添う立ち位置で視聴者には真実は見えにくいかもしれない。


しかしまあ、いざタネ明かしをされてみると、別に騙されたー!という感覚はなかったな。


自分が一体どういう気持ちで見ていたのかちょっとよくわからないのだが、思いもよらなかったわけではないけど外したというか、衝撃はなくあーそうだったかあ。と。


意表を突かれることは永遠になかったけど四人の派手なパフォーマンスと操られる会場の雰囲気がもう楽しくて楽しくて、正直アイとかどうでもいい。
もう一歩軽くして続編を期待できるものにして欲しかった。


体術アクションも大好きなのでそこも良かった。


というかなんとかアイゼンバーグ氏。めっちゃカッコ良くなってるじゃないかどうしたんだ。

ソーシャルネットワークの時もゾンビランドの時ももっさりした喪男のパーカー着て頭くるんくるんの子供みたいだったのが、ビシッと黒服で髪の色も暗くなって凄くイケメンだった。眉毛も綺麗。
あの早口大好きだよ。


モーガン・フリーマンのファンの方は是非見てください。往年のゲスの極み発動してるから。








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by kumatalow | 2013-10-31 09:41 | 映画 | Comments(0)
華麗なるギャツビー
加齢なるディカプリオ……じゃなくて華麗なるギャツビー見てきた。



どんな映画か知らずに行った。映画とはそういうものなんだが、ある程度わかってないと嫌なタイプの私にしては、映像美だけに惹かれてほいほい行った。


まあ結果は、良かったんじゃないか。ギャツビーという男の虚構と相反する彼の眩い素直さひた向きさ、ディカプリオ氏が非常に魅力的に演じてらっしゃった。
特に人懐っこい最初の掴みの笑顔なんかは、彼じゃないと表現できなかったのでは。



ギャツビーは眩いけどまあ大体周りの富豪はクソで、思い出を辿る形でギャツビーの半生は流れ去り、内容は主に彼が恋い焦がれた女性デイジーを巡るガチンコバトル。



先程富豪はクソだと言ったが漏れなくデイジーもクソで、観客役のニックが我々の目線で彼の可愛さと虚しさを一手に感じてたよね。よき理解者になりたそうだったねニック。



デイジーが クソに見える理由は、私たちにもギャツビーのように取り戻したい時間があるからで、絶対に取り戻せないという現実を直視したくなくて、思い通りに動かないデイジーがクソに見えてくる。

残念ながらデイジーは正しいんだけど。トムもね、クソな連中はみんな正しかった。




ギャツビーに同情すればするほど、過去への進軍がいかに馬鹿馬鹿しいものかを痛感させられた。
まあでも一歩間違うと「で?」っていう映画なのでご注意。




ディカプリオのムチムチスクール水着も必見ですよ~。
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by kumatalow | 2013-06-27 00:05 | 映画 | Comments(0)
のぼうの城
TBS開局60周年記念作品。
原作・和田竜。

信長亡き後、中国地方を中心に天下統一を豊臣秀吉は成し遂げ、残るは北条氏のみとなった。

小田原を中心に22もの城を諸侯に攻めさせ、石田三成には城主成田氏長の守る忍城を攻めるように下知された。

一方成田氏は一旦小田原で北条氏と共に交戦を交える姿勢を見せながら、その実忍城を開城し、降伏するという方針を固めていた。

小田原に行く城主の代わりになった城代平泉成(名前忘れた)が死に、新たに城代となったのは、民に慕われるもおよそ武将の風格とは縁遠いうつけの成田長親であった。

破天荒で情けない長親を支えていかなければならないのだからさあ大変!


丹波を始め、長親を慕う家臣・民一同が二万の石田勢に立ち向かっていく!





という感じですわ。


成田長親がいったいどんな人物なのか、私は知らないんだけども、何も考えていなさそうに見えて、実は誰よりも大胆で民のことを考えて、的確な判断ができる。主人公にありがちな「バカと天才は紙一重」という言葉をそのまま人間にしたようなキャラクターとして描いたようで。


まあ、いいんじゃない。


事実忍城は唯一落ちなかった城なんだし、ちょっとくらい美談にしてもいいだろ。


かと言って一方的な描き方かってそうでもなく、石田三成が秀吉の備中高松城の水攻めを目の当たりにし、憧れた。
ああそうか…文官三成でもやはり男と生まれたらからには戦に対する憧れも当然あるわなあ。若き日の三成の心情としては当然だわなあと妙に納得した。

だから水攻めを成功させたい、「戦」がしたい!という風に描きたいのはわかった。

純粋に戦国乱世に生まれた男の気持ちを表してると思う。



で、その若き日の石田三成役が、おバカキャラで有名な、ブンシャカの二つ名を持つ上地雄輔、またの名を、神児遊助。


アホか、付き合いきれん。とか思ったのに意外と頑張っていた。
勿論口は滑ってるし目玉ひんむいて「オイラ演技してます~!」感は隠せてなかったけど、一生懸命やってるのは伝わりました。

まあ…いいんじゃない。


ところどころ現代言葉みたいなノリツッコミが非常に鬱陶しいと感じたものの、端から真面目に描くつもりなんてなかっただろうし、CMの仕方からしてこの作品はこれでいいんだね。



空気の甲斐姫もまあ、いいんじゃない。




なんだかもうどれを取っても最終的には「まあ、いいんじゃない」で終わる。そんな映画でした。


ただし山田さんの大谷吉継は不満。

髭も伸ばしすぎるとただの野良武士にしか見えず、昨今の吉継人気にあやかってか、気を使ったのか、何でも先が見えてる風なクールな感じはイメージと違った。
確かに関ヶ原直前まで東軍に参加し、家康のことを評価していた吉継には三成より柔軟性があって社交性があって先見の明があると思う。だがしかし、この吉継は…なんか違う。

吉継はもっと上手に話せる人だと思う。

ガチガチで渋い顔作って、一言二言冷めた言い方で的確なことを呟いてみせるっていうのは個人的な吉継像とズレていたから嫌だった。
まあ単純に見た目とケツが嫌だったのが大きいんだけど。



よく見たら感想ほとんど書いてないけどまあいいんじゃない。
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by kumatalow | 2012-11-03 10:06 | 映画 | Comments(0)
  

さらしちゃいな日記。
by サトミッチ
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