仕事の辞め方
かれこれ9年間世話になった職場を離れようと考えている。

特に最近は慢性的な人手不足で減ることはあっても増えることはなかった。去っていく人の背中を恨みがましく眺めながら、残された者たち同士でてんてこ舞いするのに私は疲れた。

たまには自分がてんてこ舞いする誰かに向かってあばよと言ってみたい。そういう欲求は常にあったように思う。
それが保険だ年金だと福利厚生の旨味にしがみついて結局今日まで自分を放置していた。


なのに、一旦辞める。と決めたら私の心やどうだ。あれよあれよと雪崩をうって退職の方向へと気持ちが傾いていくではないか。

そこに感傷はない。私はやや情というものに希薄なタチであるので9年間連れ添った職場のメンツとさようならをすることには特になんの障壁もない。


打ち明けた。ところが最初に打ち明けた相手は異動を控え、最後の一日を懸命にこなす副店長であった。彼は私に言った。


「俺今日までだから。次の人に言ってくれない?」


そりゃそうだ。


虎視眈々と新しい副店長が来店するのを待ち受け、どうにか隙を見つけようと私はちょろちょろ徘徊を試みた。が、着任間もない上司は忙しそうである。まず彼は私という人間がいることすら認識していないであろう。

知らない奴がいきなり近寄って「辞めたい」と訴えてもそもそも「いたのか」という気分であろうから、仕方なくもう少し待った。


いよいよ今日こそ――とあれこれ言葉を考えて出勤したら今度はそいつがお休みだった。おのれ、サービス業の分際で土曜日を休みおるか。


このままでは埒が明かない。
結局、レジのリーダーにぼそぼそ報告に行った。


しかし、不思議なもので。辞めると決心したときは嫌なことが沢山あって、辞める為の正当な理由が沢山あって――否、これは辞めるに値するれっきとした理由であると信じて疑わなかったのに、そのどれ一つとして、言うのが躊躇われた。


気が付いたら慢性的な腰と背中の痛みを主な理由として掲げている自分がいた(これは嘘じゃない) 。


だけど真実は違う筈なのだ。残業続きが嫌で、アホな客の相手をするのが嫌で辞めようと思っている。それを言えばよいのに、どういう訳か言えない。


辞めて関わりのなくなる相手に馬鹿にされることを恐れている。チンケな理由で辞めやがって社会を舐めていると指を指されるのを嫌った。突如守りに入った原因はまあこんなところだろう。


なにやら自分が情けないが、とりあえずよしとする。辞める意思さえ伝われば理由なんてなんだっていいのだ。駄々をこねたと思われるより、体調致し方なくと諦めて貰った方が後腐れもなくていい。


ところが、レジのリーダーにぼそぼそとそのような報告をしたところ、「ダメでしょ」と一蹴された。


サトミッチさんはアテンダントができる人だし、タバコの管理者だし、ベテランでどうのこうのと、言っておられた。


いや、だからそれが嫌で辞めるんです。


ということを言ってみても今一つ納得されない。


話し合えば合うほど自分が急に変なことを言い出したみたいになって、全く先へ進まないまま終わった。


ここまで自分が口下手だと思わなかった。


もしかして私は変なこと言ってるんだろうか?

あんたは旗揚げの時からいるんだから、この店と運命を共にするのは当然でしょ?辞める?なに?ハァ?


そんな感じだろうか。私が退職するのってそんなに変なことなんだろうか。



などとせんでもいい考察をしてしまったではないか。



どうにかスッキリ辞める方法はないだろうか。


優柔不断な私の気が変わらないうちに早く辞めさせてくれ。
[PR]
by kumatalow | 2014-03-08 21:37 | 仕事 | Comments(0)

さらしちゃいな日記。
by サトミッチ
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
フォロー中のブログ
気まぐれにどうでしょう ...
ライフログ
検索
タグ
(1)
外部リンク
ファン
ブログジャンル
日々の出来事
絵日記・イラスト