【伊坂幸太郎】オー!ファーザー
 読む前はどうも縁がない作家だと思っていたが、彼の無理のない人物描写が心地よくて、ついあると手を出してしまう。

 オー!ファーザー。

 タイトルを見た時の第一印象としては、ふざけてて面白くないのかなと思った。読んでみたら多少ふざけてて、多少面白くなかった。

 ざっくり説明すると4人の父を持つ高校生由紀夫が、日常の小さな事件に巻き込まれて、やがてそれがひとつの大きな事件に発展し、4人の父親が大活躍するというポップで家族愛あふれるお話。

 伊坂幸太郎という人はシャイなのかなんなのか、素直に家族愛を描きたがらない。必ず有り得ない設定をひとつぽんと用意して、それらを隠れ蓑にしつつ訴えかけてくることはてんで平凡な人として当たり前の感情だったり、成長だったりする。読者を楽しませねばならないから凝った設定を考える、という部分が大なのだろうけれど。


 4人の父親も皆個性が溢れ過ぎるということもなく、見ていて穏やかな気持ちになれる物語である。ただ、散々レビューで言われているとおり、若干伏線回収が甘いのと、同級生の女子多恵子が鬱陶しい。途中から慣れたが序盤は本当にイライラした。

 夕闇通り探検隊というゲームがある。学校で集めた噂話を犬の散歩がてらに検証するホラーゲームだ。検証の最中に有り得ないことが起きたり、心底怖いような演出もある。でも主人公たちは時間がくれば家に帰ってきて普通に夜を過ごし、翌日には学校に行く。オー!ファーザーはそういう雰囲気を持っている。日常を捨てきらない中での大わらわ、という点が私はとても好き。

 そんなわけで傑作とは言い難いのだが、どうも憎めない。
 
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by kumatalow | 2016-08-29 02:49 | 書籍 | Comments(0)

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