【道尾秀介】向日葵の咲かない夏
 これはミステリー小説と言っていいのかと、読後相当考えた。人が死ぬし、犯人はわからないし、一応ミステリーと呼べなくもないとは思う。だけどこれをミステリーですと認めてしまったら、もはや何でもアリになってしまうんじゃないのか。

 つまりそういう物語だった。

 主人公は小学4年生のミチオ。先生から預かったプリントを届けに、S君の家に行くと、S君は首を吊って死んでいた。しかし、警察が向かうとS君の遺体は忽然と消えていた。一体誰がS君の身体を持っていったのか? それとは別に、ミチオを疎ましがる母親、3歳とは思えないしっかり者の妹ミカ、いつもヒントをくれるトコ婆さん。そして蜘蛛となって蘇ったS君。

 いくつもの謎が解き明かされていく、ひと夏の悲しい事件の顛末は…………















 全部妄想でした。

 主人公は母親にドッキリを仕掛けようとし、母はお腹の子を流産してしまう。以来母から拒絶され、妹ばかりを可愛がる。その妹というのが、母親はお人形を娘と思い、ミチオは飼っているトカゲを妹扱いしているというものだ。しかし読んでいるとわりと早い段階で妹が人外生物であり、幽霊でもないことはわかってくる。

 読者の目を騙そうと普通に会話もするし、外に出たりもするんだけど、全部ミチオが考えているのだから会話ができて当たり前。ミチオは身近な人が死ぬと、虫や花に生まれ変わった設定にして、自分の妄想の世界の中で生きるちょっと病んでる小学4年生だったのだ。


 叙述トリックに引っかかることに喜びを見出す私としては、このタネ明かしは少し不満だった。また、事件解明の部分も、ドッキリが二転三転用意されているというよりは、同じことをこねくり回しておちょくっているだけのように見えた。こうか、と思えばやっぱり違う。じゃなくてやっぱりこっちでしたを繰り返されて、そのうちどうでも良くなった。結局オジサンが足を折っていたのはどっちの理由だったか忘れてしまった。


 どうも夢オチ、妄想オチにされると自動的に「逃げたな」と思ってしまう癖があるから、こういうのもアリだと思ってしまえばいいのだろうけど。

 それにしても少しお粗末だった。

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by kumatalow | 2016-09-11 16:54 | 書籍 | Comments(0)

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