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SAKURA千年紀

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ【ネタバレ注意】

 アメリカのゴジラさんの活躍見てきたよ。
 もしかして、もしかしなくても続編だったやつ。よくよく見てると設定らしい設定はなくて、知恵のある地雷女が暴走して怪獣も暴走して、それをゴジラ様になんとかしてもらおうっていう、ゴジラでしょっちゅうやってる展開だったので、最初ついていけなくても大丈夫。

 怪獣のバトルは美しくて凄かった。ぜひ4DXで見たかったなあ!

 好かない。
 まず、前提として私はゴジラ悪役派。といってもゴジラが悪役張ってたシリーズはそう多くはなく、ほとんどが勝手に侵略してくる怪獣をちょうどよく現れたゴジラとぐう聖モスラなどが協力して倒すっていうタッグバトルだ。行き当たりばったりで、そのときの利害関係の一致なのが良かった。ゴジラは怪獣を倒してくれるけど、人間になにももたらさないし、自分のことしか考えてない、侵略者であるという一端は損なってないかどうかが、私の中では分かれ目。

 やれ神だ王だって祀り上げてゴジラ殺すなゴジラ大事って主人公以外の人間が肩入れしてるのが合わなかった。ジュラシックワールドでも同じことを感じたけど、作り手が囲う方向にもっていくことによって魅力が薄れることがある。利用して相打ちさせるだったら納得できた。最後怪獣がひれ伏すのもちゃんちゃらおかしかった。なにしろ地球も再生してくれるゴジラ様設定だからね。

 それとなんですって? モスラとゴジラに愛? いらないからそういうのわざわざ口に出すな。気まぐれに鑑賞した自称特撮好きオタ女が黒髪マイルドヤンキーイケメンゴジラと清楚系ふわふわぐう聖モスラの擬人化ノマカプを速攻で流行らせるからやめろ。なんなら金髪ギドラとのBLも描くからマジでやめろ。チープ。

 渡辺謙演じる芹沢猪四郎は初代ゴジラで平田昭彦演じた芹沢大助のオマージュ。なのに、彼が博士らしいことをしている場面はあまりない。みんなと一緒に超頑丈な飛行機に乗って、ゴジラのことめっちゃ調べたっぽいノート持って神妙な顔をしているだけである。巻き込まれたら「なぜ……ゴジラ」みたいな顔で振り返ってとりあえず全力で逃げる。発言も聞いてると博士っていうか、今までのゴジラシリーズの熱烈なオタク的立ち位置で、控えめにゴジラの豆知識を連発。

 彼は今までのゴジラシリーズのファンの代弁者でもあるのか。最後の「友よ」は一緒に年をとってきたよね、という意味も含まれると勝手解釈。渡辺謙の表情がとても良かった。それまでの鈍臭すぎる展開をオキシジェンデストロイヤー並みに水泡に帰す泣けるシーン。

 そう、芹沢といえばオキシジェンデストロイヤーだ。芹沢大助は良くも悪くも化学者であることを貫いた。凄い発明をしたにも関わらず、人間を信用せずにゴジラと心中した。オキシジェンデストロイヤーと芹沢は一体で、ゴジラと同じ人間が生み出した化け物なのだ。彼もまた自分の縄張りを守った、孤高の怪物であったところにあのラストは感動したが。


 実は今回も出てくる。人間が空からゴジラとギドラの戦い眺めてるときに急に本部から電話がかかってきて「前から作ってたオキシジェンデストロイヤー完成したから。もう飛ばしたから」って言われて、「えっえっ」って言ってる間にデストロイヤー到着して大切なゴジラ様だけ被害甚大で足引っ張りまくって物語の引き延ばしにひと役買った。雑にも程がある。遠回しに芹沢が死ぬ原因を作るブラックジョークが効いている。


 しかし最終的な感想としては、なんだかんだ言ってもゴジラへの思い入れは本当にすごい、というところに落ち着く作品だ。「ゴジラを作ってやるぞ!」という意気込みが感じられたし、結果は十分に出ていたと思う。怪獣を美しいと感じることはなかったから。今までみたいにやれとか、過去は越えられないとかは言いたくない。キングギドラも今までで最強だった。怪獣というより、生き物の生々しい戦いを見たな。それだけでも価値がある。


 クライマックスで流れる伊福部昭のBGMがにくい。使いどころ。これが流れるだけでぐん、と体温が上がる。かっこいい。

 我らのゴジラ様ーがまったく気にならない人は見るべし。

 長くなりましたが注意点が二つ。

 ①日本語吹き替え版で見る際はご注意ください。ひげ面のくたびれたオッサンから若々しく甲高い甘え声が飛び出します。田中圭です。オッサン繋がりで起用されたんでしょうか。
 ②あ、あの人出てるじゃん! 芸人の……なんだっけ? アントニー……違います。アイシャ・ハインズという女優さんです。
 


by kumatalow | 2019-06-03 02:44 | 映画